VOL.46 ピックアップ動物
日本の山林や里山に生息し、小動物や果実などを食べる雑食性の動物で、特定の場所に糞をする「ため糞」の習性があります。日本固有種(日本にしか生息しない)です。外来生物(もともと日本に住んでいなかった動物)であるアライグマやハクビシンなどと食性、生息域などが重なることで生存競争が起き、近年数を減らしています。 当園のタヌキは 2015 年、赤ちゃんの時に子犬と間違って保護されてしまい、野生に戻すことができなかった個体です。野生のタヌキは、ほかの動物が掘った穴や樹木の根本などを巣にして子育てを行いますが、ほかの動物が近づ くなどして巣が危険にさらされていると判断した母親が引っ越しをすることがあります。一度に4頭程度の子どもを産むので、まだ歩けない子どもを一度には運べません。そのため、何度かに分けて新居へ子どもを運んでいくのですが、新居が遠い場合は途中で子どもを適当な場所に隠して進んでいくこともあります。高速道路のサービスエリアのような感じでしょうか。このタヌキは、母親が隠したのが人通りの多い道路わきの側溝だったようで、見つけて集まってきた人間たちに驚いた母親が迎えに来られなくなったか、その前に人間が連れてきてしまったものと考えられます。 昔から日本人の生活になじみがあり、近くにいたはずのタヌキは、今でもおそらく皆さんが思っているより近くにいます。いただけでびっくりされたり、その生態について知られなさすぎていたりするのは、すこし寂しいことだなと感じています。